最近モラルハラスメントという言葉が急激に浸透してきます。
はじめてこの言葉を使ったフランスの精神科医マリー=フランス・イルゴイエンヌ博士
によると以下のような定義になります。
『言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人間が、職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせること』
さて、モラルハラスメントなど問題とされる言葉ですが、
悪い事を悪いという意味ではとても大切です。
今まで妻に暴力をすることが悪い事だと思わなかった人が、
DVという言葉が生まれる事で悪い事だとされるわけです。
そういう意味でモラルハラスメントが浸透して来たという事はとても良い事です。
ただ、言葉は使い方がとても大切です。
裁判で夫から慰謝料をとるために使う言葉としては悪くないのかもしれません。
また、世間から言葉の暴力をなくすという意味においてとても意味のある使い方です。
ただ、夫婦関係をよくしたいと思う時にその言葉の使い方はとても難しくなります。
「あなたはモラルハラスメントなのよ。少しは反省しなさい。」
と言われて素直にモラルハラスメントの本を読んで、自分の言動を変えようとしてくれるパートナーならまったく問題はありません。
しかしそんな理想的な流れになる事はあまりありません。
多くの人が
「自分のことを棚に上げて、犯罪者呼ばわりしやがって。」
と怒り関係はさらに悪化します。
もっと言うと、逆に相手の悪いところ、至らないところをさらに探すようになります。
もし関係を改善したい場合、
「私は、あなたの怒ったときの怒鳴り方はすごくつらいの。お願いだからもう少し怒ったときも冷静に話してくれない」と言うだけで状況はかなり変わってくるかもしれません。
ここで大切なのは、以下の二つです。
1、私が悲しい、辛いといった気持ちを伝えること。
2、具体的に、どうして欲しいのかを伝えること。
少なくとも相手を批判するのではなく、私が嫌な思いをしているという伝えることです。その時にモラルハラスメントという言葉は使わないほうがいいかもしれません。
問題が発生すると多くの人が知識を得ます。しかし、知識の使い方を覚えようとはしません。
知識は使い方によって、薬にも毒にもなります。
モラルハラスメント。その知識をどう使うか。それが一番大切なのです。
さて、とはいえ理屈どおりにいかないのも夫婦関係です。
もし夫や妻のモラルハラスメントに困っていて、いろいろ試みたが上手くいかないかたは一度当ルームにお越し下さい。
一緒に解決のための方法を模索していきましょう。